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【PCAで学ぶ公益法人会計】 第13回:指定正味財産の受入~その1

PCA公益法人会計ソフトを利用し、指定正味財産の受入について会計処理を考えてみましょう。
寄付者の意思によって、使途や運用方法に制約がある寄付を受け入れる処理は、次のように考える事ができます。

例①)指定正味財産として取り扱うべき寄付を受け、特定資産に積み立てた。

まず、指定正味財産増減の部に表示される「受取寄付金」を用いて下記の仕訳を起票します。

普通預金(流動資産)  /  受取寄付金(指定正味財産増減の部)

ちなみにPCA公益法人会計では上記の仕訳を入力すると、以下の収支計算書用の仕訳が自動で起票されます。

資金  /  寄付金収入

次に、下記のように受け入れた寄付を特定資産に積み立てる仕訳を起票します。

特定資産(固定資産)  /  普通預金(流動資産)

上記の仕訳を入力すると以下の収支計算書用の仕訳が自動で起票されます。

特定資産取得支出  /  資金

この一連の処理の結果、正味財産増減計算書の指定正味財産の部に受取寄付金が計上され、貸借対照表には普通預金の増加と減少が表示され、特定資産の増加が表示されることとなります。
収支計算書には寄付金収入の増加と特定資産取得支出の増加が表示され、収支差額は0となります。

*蛇足ですが、5年前の私はこの処理に少し戸惑いました。
寄付金をもらって預金に積み立てると、収支計算書上は収入と支出の両方に同額が計上されて、収支差額が0となるからです。預金を積み立てる事が支出とされることに違和感があったためですが、特定資産は固定資産ですから、資金の移動ではなく固定資産取得支出となります。

決して難しくはありませんので、みなさんもゆっくりと確認してみてください。

さて、ここまでのご説明で疑問点を持たれた方もいらっしゃると思います。
なぜ上記の仕訳を一行で起票しないのか?
普通に考えれば下記のような仕訳になるはずです。

特定資産(固定資産) /  受取寄付金(指定正味財産増減の部)

PCA公益法人会計では、上記の仕訳を起票した場合、収支計算書が正しく表示されない事があります。次回は会計システムの仕組みと共にご説明を進めさせていただきます。