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【PCAで学ぶ公益法人会計】 第8回:財務諸表の構造を理解しよう~その7

正味財産増減計算書

公益法人の純資産(総資産-負債)に該当するものが正味財産となりますが、その正味財産は財源ごとに「基金」「指定正味財産」「一般正味財産」の三つに分類される事を前回までにご説明いたしました。
この三つに分類された正味財産は、公益法人が行う様々な活動の中で増減を繰り返しますが、その増減理由を具体的に説明しているのが、「正味財産増減計算書」です。

企業会計の損益計算書と同じ働きをするものが、公益法人会計における正味財産増減計算書となりますが、それぞれの計算書の構造は少し異なっています。
誤解を恐れずに例えれば、企業会計においては当期利益(損失)はひとつしかありませんが、公益法人会計では当期正味財産増減額は「当期一般正味財産増減額」「当期指定正味財産増減額」「当期基金増減額」の3種類あります。
実際にはあり得ないことですが、もし企業会計に公益法人会計の計算構造だけを持ち込んだとしたら?
当期利益1、当期利益2、当期利益3という3種類の当期利益が表示されるという考え方になるかもしれません。
公益法人が寄付を受けた場合などの受託責任を明確にするため、その財源を明らかにし、法人が自由に運用できる一般正味財産とは分離して表記することが、企業会計との根本的な相違だと考えられます。